パンツについた糸くずが取れない | 損傷 | 東京都クリーニング生活衛生同業組合

どれどれ、見せてごらん。
本当じゃのう。
これは、「ストレッチ加工糸」じゃな。

そうじゃ。
これは、糸くずではないのじゃ。

糸くずとストレッチ加工糸には2つの違いがあるのじゃ。
1つめは、払った時に落ちるかどうかじゃ。
糸くずは払った時にすぐ取れると思うんじゃが、このストレッチ加工糸は取れなかったじゃろう。パンツにくっついたままじゃからストレッチ加工糸かと予想したのじゃ。
２つめは、引っ張った時に伸びるかどうかじゃ。
糸くずは引っ張ると取れると思うのじゃが、ストレッチ加工糸は引っ張ると伸びるのじゃ。
糸くずを引っ張ってごらん。

そうなんじゃよ。
引っ張ると伸びるのじゃ。
ストレッチ加工糸というのは、ゴムのように伸び縮みする「ポリウレタン繊維」が使われているのじゃ。

そうじゃったか。 一般の織物で作られた衣類の中には、伸び縮みがなく着た時に窮屈で動きにくいものもあるのじゃ。
それに比べて、ポリウレタン繊維が入っていると着た時に伸び縮みするため着心地が良く動きやすいんじゃ。

良いところに気付いたのう。
それは、ストレッチ加工糸に使われているポリウレタン繊維の欠点なのじゃよ。
ポリウレタン繊維は、空気中や洗濯時の水分が原因で繊維がボロボロになって切れてしまうのじゃ。

それはじゃな、ボロボロになって千切れた繊維が洋服から出てくるのじゃ。
洋服を着ている時は絶えず動いているじゃろ？
千切れた状態では洋服の中に入ったままじゃから見えないのじゃが、動きが加わると徐々に出てくるのじゃ。
それが糸くずのように見えたんじゃな。

防止方法を教えたいのじゃが、残念ながら洋服を着ている限りは無いのじゃよ。
じゃが、心がけ次第で千切れるのを遅らせることはできるのじゃ。
1つめは、一日着た服は次の日は着用せず休ませることじゃ。
同じ洋服を続けて着るのではなくて、何種類かの洋服を交互に着ると長持ちするんじゃ。
2つめは、保管する時は風通しの良い乾燥したところに保管するのじゃ。
湿気が多くジメジメしたところに保管するとストレッチ加工糸が千切れるのが速まるのじゃよ。