日本繊維製品・クリーニング協議会(角田光雄会長)では、本年度「コラボレーション・アクト(アパレルとクリーニングの協働行動)」と銘打ち、アパレル業界とクリーニング業界の交流を図り、ひいては両業界が協調して消費者保護を目指す基盤作りに向け各種取り組みを行っており、その一環として2月25日にアパレル業界関係者・検査機関関係者等が中心となってクリーニング業界の見学会を行った。
この日は2グループに分かれ、東京都クリーニング組合に加盟する一般ホームクリーニングの「カラキヤ洗染株式会社」に9名。同じく当組合に加盟する、いわゆる特殊品を専門とする「東京ホールセール株式会社」に12名の合計21名が参加した。
ホームクリーニング
【カラキヤ洗染株式会社…東京都港区…】
同社代表取締役の唐木善孝氏(日繊ク協理事)は繊維商品めんてなんす研究会の専務理事であり、また会社としてもアパレルショップのディスプレイ用商品のクリーニングを積極的に請け負っており、普段から業界間交流を積極的に行なっている。
この日は、クリーニング工場見学と質疑応答の2部構成で、まず、唐木氏と向山正幸工場長の説明のもと、洗浄やシミ抜きといった実際のクリーニング作業を、順を追って見学した。質疑応答では衣服に付けられている絵表示と実際のクリーニング作業との差異や特殊物の取扱い方法、クリーニングの失敗例等について多くの意見が交わされた。唐木氏がフロック加工布のパイル脱落の話を例に出し、最近ではアパレル各社の内部における情報伝達が不十分なため、昔は周知されていたはずの注意点が今になって忘れられかけているといった、アパレル業界の身近に存在する危険性について説明すると、皆一様に多大な関心を寄せていた。
参加したアパレル業者は、普段知識としてしか有していないクリーニング工程を実際に自分の目で確認し、クリーニング業者の生の声を聞くことによって、改めてクリーニングに対する理解を大いに深めた。
ホールセール
【東京ホールセール株式会社…東京都府中市…】
和服や毛皮製品等の「特殊品」クリーニングを専門とする同社に対しては、アパレル業界の注目度も非常に高い。それは、豊かなファッション性を追求する国民のニーズに対して、洗濯という面で、一般ホームクリーニングとホールセールが協力しあいながら支えているという事情があるからだろう。
工場見学に先立ち同社代表取締役社長の武井秀夫氏から挨拶があり、「クリーニング業界とアパレル業界は、やはりお互いが協力し合ってこそ発展がある。当社でも以前、大手アパレルメーカーから依頼を受けてブランド商品の洗浄試験を長期にわたって行ったこともある。日繊ク協の活動に今後とも注目していきたい」と述べた。
工場見学ではとりわけ、皮革製品の色掛けや日焼けの復元、オゾン洗浄機、毛皮のパウダークリーニング、帽子のメンテナンス等に注目が集まった。また溶剤が大気中に拡散しないよう環境に配慮した上でのハンガー干しの広い乾燥室も整備されており、クリーニング業界の環境保全の取り組みに対しても関心が寄せられた。
見学後のミーティングでは、予定時間を大きく上回るほど活発な意見交換が行われた。