衣服は何故必要なのでしょうか。現在、衣服はファッションとしてひとつの文化にまで成長しました。
しかしその起源は、身体を保護することからスタートしています。
身体を保護する
動物の毛皮をはぎ、それを身にまとっていた原始時代から数万年が経ち、現代の衣服は素材やデザインの大きな進歩により、機能的で美しい衣服をまとえ快適な生活を送れる時代になりました。つまり、人類と衣服というのは時代背景により変化し、進化しています。
しかし、わたしたちが衣服を着る原点というのは、「身体を守る」ことにあります。その原点をもう一度見直してみましょう。
自然環境から身を守る
衣服を着ることにより、「暑さ」や「寒さ」、または「紫外線」などの自然環境による避けられない変化から身体を保護することができます。また、体にまとった衣服があることにより、例えば熱いコーヒーをこぼしても直接皮膚にかかる確率を低くしたり、植物のトゲが皮膚に直接刺さる確率を低くしてくれたりなど自然生活の中にあるリスクを防護する役割もあります。
そして、汚れや細菌から皮膚を守り、皮膚から出る汗などの排せつ物を吸収してくれ、身体を安全かつ清潔に保つ役割を担っています。
つまり、こうした役割を担う衣服があることで、様々な環境の中で人間は行動することが出来、社会活動を円滑におこなうことが可能になります。
体温をコントロールする
衣服は、人間の体温をコントロールする役割もあります。人間が裸で快適に過ごせる気温範囲は28℃から31℃の範囲と言われており、その範囲を越えている場合は、自分の体温を快適な温度に維持するために衣服を活用します。
つまり、例えば気温が低いときは、身体から外界への放熱を防ぐために衣服が活躍してくれます。
ところが、気温が高くなったり、運動により、身体から放たれる汗や熱が衣服内に充満すると「蒸し暑い」などの不快感を覚え、環境に適応する為に、皮膚から外界への通気性を確保した衣服を活用することになります。
着心地を考えよう
着心地のよい衣服とは、様々な要因が満たされることで「着ていて心地よい」衣服となります。
その要因とは主に「生理的・機能的要因」「心理的要因」「社会的要因」の3つの要因が満たされたときと言われています。
衣服を購入する時や、着用している時などは是非これらの要因を確認してみましょう。ただし、心理的要因や社会的要因は個人の要求度によって変化します。
生理的・機能的要因
- 暑くはないか?寒くはないか?
- 汗などの吸湿性、透湿性、通気性はよいか?
- 衛生的かどうか
- はだざわりなどから受ける不快感はないか
- サイズは、身体に合っているか?
- 動きやすいか?
- 窮屈(きゅうくつ)なところはないか?
- 着やすいか?脱ぎやすいか?
- 着用するうえで、素材の強さはあるか?
心理的要因
- デザインや色や柄などが自分の好みに合っているか?
- シルエットは美しいか?
- 似合っているか?
- 個性を十分に発揮できているか?
社会的要因
- その場の雰囲気に適切であるか?
参考:家庭一般21(実教出版株式会社)