近年消費者ニーズに応える為に、アパレルメーカーは服作りにおいて、実に豊富なアイデアやノウハウでもって、外観に特徴づけを行ったり、より良い性能を与える「加工処理」を施す場合があります。
しかしその特徴は、付加価値としてのメリットばかりが先行し、デメリットがどのようなものなのかが消費者へ明確に伝わっていいない場合もあると考えられます。
そこで、このページではいくつかの「加工処理」の中でも、『接着加工』について紹介します。
接着加工の衣類とは
接着加工を行う理由は主に、デザイン上の理由と考えられます。
「縫い目を極力無くしたい」「縫うことによって、衣服のシルエットが悪くなる」「縫えない素材を飾りとして施したい」「異なる素材を1枚の生地のようにしたい」など。
そして接着加工は、目で見て分かるものと分からないものがあります。
また、「表示ラベル」にも加工方法の印字が義務化されていないことから、衣服の購入においても注意が必要とされています。
この加工は、肌に直接触れないコートやジャケットなどのアウター(外套)によく用いられます。
そしてそれ以外では、例えば「表示ラベル」に綿100%と印字されている品物でも、表面と裏面と色が全く異なる場合などは接着加工が施されている場合もあります。つまり、表面が赤一色の生地なのに、裏面は青一色などが、当てはまります。
接着加工の仕組みとは
服作りで施される「接着加工」とは、主に次ぎの3つの方法にて行われます。
ここでは2つ目の方法と3つ目の方法、つまり、樹脂を溶かしてはり合せる方法について紹介します。
樹脂による接着方法
「泡状」「フィルム状」共に樹脂の原料として使用されるものの多くは、ポリウレタンと言われる素材です。
方法は、接着剤を使わずに、ポリウレタン樹脂を生地の間に挟み、その樹脂に熱を加えて溶かして接着します。
ポリウレタン樹脂による接着の弱点
ポリウレタンという素材はもともと時間とともに劣化の進む素材です。つまり、ポリウレタン樹脂の劣化により接着部分が剥がれたり、樹脂がにじみ出てきたりする場合があります。
特に、家庭洗濯においても商業クリーニング(特にドライクリーニング)においても、縫い目などから樹脂が浮き出される事があります。
そしてこの状態が、水シミのように見えるなどで誤解を与え、クリーニングトラブルでも非常に多い事故事例として挙げられます。