麻を使用した衣服は、吸湿性が高く肌触りも涼しく夏物衣料の定番アイテムです。しかも、近年ではシャツ以外にサマーセーターやカーディガン、カットソーなどにも使用されるなど、バラエティに富んだ商品が販売されています。
しかし一方で、麻は素材に独特な特徴や欠点があったり、お手入れが難しい一面を持っています。
このページでは、麻について紹介します。
麻の種類について
衣料用に用いられている麻には2種類あり、亜麻(あま=リネン)と苧麻(ちょま=ラミー)があります。しかし、ケアラベルなどに記されている表示では「麻」という表示で統一されます。
麻は、綿と同じ植物繊維で、植物の茎にある「靭皮」といわれる部分から採取されます。
また、亜麻(リネン)と苧麻(ラミー)の違いは次の通り。
亜麻(リネン)
亜麻(リネン)繊維は、細くて短く、やわらかいためにソフトなシャリ感と深い光沢があります。
苧麻(ラミー)
苧麻(ラミー)繊維は、太くて長く、かたいためにシャリ感と強い光沢があります。
麻の機能的特徴
麻は吸湿性が優れ耐久性があり、繊維が伸びにくく硬いため、肌に触れたときに冷感をあたえることから、春夏衣料に好まれます。
麻の優れた吸湿性については、綿(コットン)との違いと比較すると分かり易いです。
綿は、水分を吸うと溜める特性がありますが、麻は吸った水分を外に逃がす特性を持っています。
麻の欠点
麻は高級素材としてのイメージもありますが、着用や洗濯やクリーニングを繰り返すことにより、新品のときのハリやシャリ感はどうしても失われてしまいます。これは麻の持つ宿命でもあります。
そして、これ以外にも欠点があります。
シワになりやすい
麻は吸湿性が高いことや、他の繊維と比較すると生地が粗い織り方をしている製品が多い点など、シワになり易い条件を備えている繊維である為。
参考:何故シワが出来るのか?
濃色品は着用中の摩擦や汗により色移りすることがある
麻繊維は、染色したときに染料が繊維の表面に高密度で集積するため、表面上は発色がよいという利点はありますが、繊維の内部までは染料が浸透しにくく、完全には染まりにくい性質を持っています。
その為、他の繊維に比べ比較的色移りし易い繊維と言えます。
着用による摩擦や洗濯・クリーニングなどにより、白化、毛羽立ち、部分的な脱色が起こることがある
麻は繊維の内部まで染料が浸透しにくい特徴を持っている為、摩擦により繊維が裂ける(毛羽立ちすると)と繊維内部の染料が浸透していない部分が露わになりやすいです。
しかも、麻は毛羽立ちが生じ易い特徴もある為、いずれ起こりえるやむを得ないダメージとして理解する必要があります。
参考:衣服の色落ち(白化現象)
少しでもダメージを少なくするには、連続して着用しないこと。濡れたまま擦らないことなどが挙げられます。
上品なきれいめスタイルで人気アイテムだが...
麻は、風合や色調などから綿などとは異なる高級な素材感やイメージがありますが、その醸し出す風合いや素材の持つ特徴の裏に隠されている欠点なども理解し、衣服を楽しむことが必要です。
(写真:技術情報)