スキーウェアやウインドブレーカー、ジャケット、コートなどを例に「はっ水加工」をしてある衣服を多く見かけます。また、「はっ水加工」は規格としてしっかり定義されており、試験を行うことで「はっ水性」の表示ができます。むしろ、メーカーは消費者保護の観点から、同性能を持たせた衣類であれば試験を行い表示を行うべきと言えます。
このページでは「はっ水加工」について解説致します。
「防水加工」と「はっ水加工」の違い
「防水加工」
「防水」とは、いわゆるビニールカッパ・テントなどを例に、生地素材そのものが塩化ビニルや合成ゴムで出来ていたり、パラフィンなどをコーティングして、水の漏れや浸透を完全に防ぎ、強い雨でも水を通さない加工です。また、弱点として「はっ水加工」とは異なり、空気や水蒸気を通さないので蒸れやすいです。
ちなみに、別名不通気性防水加工と言います。
防水=水の通る”すきま”が無い!
「はっ水加工」
「はっ水」とは、水を玉状にしてはじき転がす性質です。つまり、布表面で水をはじいて水玉状になるようにするため、繊維を水と混ざり難く(水に濡れ難くい=疎水化)して表面張力を低下させる加工を言います。また、布目の隙間はふさがれないため、空気や蒸気は布面を通り抜けますので、蒸れ難いです。
ちなみに、別名通気性防水加工と言います。
はっ水=水蒸気分子や空気を通す”すきま”が有る!
取扱い注意表示について
社団法人日本アパレル産業協会は、衣料品の取扱い注意表示について業界の標準的な考え方を示した「取扱い注意表示ガイド」を設けています。
そして注意表示ガイド内では、「はっ水加工」のケア表示を3種類設けており、各メーカーによる表現のバラつきを防ぐことを目指しています。
そこで、以下の3種類のケア表示に対して詳しく解説を読むことで、「はっ水加工」の理解を深めましょう。
はっ水(水をはじく)加工をしています。完全防水ではありませんので強い雨にはご注意ください。
「はっ水加工」は、いわゆるビニールカッパなどの完全防水とは違い、織目や網目などの”すきま”が残されているので、水滴の浸入を完全に防ぐことは出来ません。ただし、空気や汗の蒸気は通過することが出来ます。その為に、蒸れるという感覚を少なくすることが出来ます。
お客様によっては、はっ水加工は水滴が浸入しないと誤認して、「クリーニングに出す前は水は滲みてこなかった。クリーニングで防水がなくなった。」と誤解されるケースがあります。
「はっ水加工」は、水をはじくだけの加工であり、水の浸透は防げないことを理解しましょう!
ドライクリーニングにより、はっ水効果が弱くなりますのでクリーニングの際は、はっ水加工を依頼してください。また市販のはっ水スプレーをご利用いただいても結構です。
レインコートなどは、生地の表面に水滴が付着したとき浸水しにくいようにはっ水加工を施し、表面を疎水性(濡れ難く)にした素材を使用しています。
しかし、はっ水加工した品物をドライクリーニングや水洗いすることではっ水性が低下してしまうことがあります。洗剤に含まれる界面活性剤は、浸透・湿潤作用を促進するため、繊維表面に界面活性剤が残留していると生地が親水化(濡れ易く)されます。
つまり、親水化された分、はっ水効果が弱くなります。節約して「はっ水加工サービス」を利用しないと、はっ水加工の弱い状態のままになりますので、必ずクリーニング店をご利用の際には「はっ水加工サービス」をご利用ください。
ちなみに、クリーニング店では再度はっ水加工をする為、洗剤を十分にすすいでから再加工します。
また、お客様が使う市販のはっ水スプレーでは、ムラ付きなどでうまく加工できないこともありますので、出来るだけクリーニング店の「はっ水加工サービス」を利用することをお薦めします。
<クリーニング店へのお願い>フッ素系の溶剤はさけてください。
ドライクリーニング溶剤の中でフッ素系溶剤は、他の溶剤よりもはっ水加工剤に強く作用してしまい、はっ水効果を低下させます。