近年、スーツでリュック(バックパック)を背負うスタイルが増えているようです。気品さや上品さを醸し出すアイテムとしてのスーツに、リュック(バックパック)というカジュアルアイテムを組み合わせることで、個性的ともいえます。
両手が空き、軽快な動きで機動力もアップするリュックスタイルですが、スーツは本来リュックを背負うことは想定されていない形や作りであるばかりか、衣服を長持ちさせたい方にとっては非常に相性が悪い組み合わせと言えます。また、ビジネスマナーとしてもあまり気持ち良いものではないといえます。
このページでは、ビジネスリュックがスーツを傷めてダメにしてしまう理由を紹介します。
スーツの寿命を縮める要素が盛り沢山
衣服には様々な種類がありますが、衣服が痛む大きな原因の一つとして「摩擦」が挙げられます。人は衣服を着て生活するうえでどうしても避けられないのが摩擦ですが、比較的高価で身だしなみとして気品さを求めらるスーツに対してわざわざ自ら摩擦を助長し、スーツを傷める為のアイテムがまさにリュック(バックパック)と言えます。
生地の損傷や毛玉を引き起こす
衣服において物体同士が擦り合う箇所、つまり摩擦が起きる箇所は生地が薄くなったり毛羽を発生させ毛玉を引き起こし易くします。
リュックを背負ったスーツのジャケットは、ショルダー(肩)部分と背中部分に摩擦を引き起こします。これが、手提げバッグであればリュックのような摩擦が起きないのは想像出来るかと思います。
型崩れやシワを引き起こす
スーツには大別してカジュアルスーツとテーラードスーツがありますが、ビジネスパーソンの多くが日常的に着用するのは後者のテーラードスーツです。テーラードスーツのジャケットは本来、造形的なシルエットを作るために「いせ込み」や「くせ取り」などの仕上げ技術を用いて作られているある意味特殊な衣服といえます。
型崩れを防止するべく芯地も多用されていますが、日常的な動きでどうしても型崩れやシワが起きてきてしまい、そのまま放置すれば徐々に、見た目上清潔感や気品さが失われていきます。
このように通常の着用でも型崩れやシワが起き易いにもかかわらず、リュックを背負えば本来のシルエットを自ら積極的に崩していることになります。
ショルダー(肩)のストラップや背中部分がジャケットを圧迫しシルエットを壊し、シワを作っている状態になります。
パンツ(スラックス)も実は傷んでいる場合も
スーツにリュックスタイルで意外に盲点なのが、パンツの腰裏部分へのダメージです。リュックの底部分がパンツの腰裏部分にあたり、そこにも摩擦が起きて毛玉や生地の損傷を引き起こす場合があります。
スーツを長持ちさせるカバン(バック)は、手提げタイプが一番!
ファッションは人それぞれの価値観の中で楽しむものでありますが、出来るだけスーツを傷めず長持ちさせたいことを優先するのであれば、リュックやショルダータイプではなく手提げタイプが一番です。理由は、スーツとの摩擦が起きるリスクがリュックやショルダータイプより明らかに少ないからです。
衣服を長持ちさせる為に、小物の扱いにも注意しましょう。