衣服は、ビーズやスパンコールのような付属品や縁取りだけに皮革を用いたり金属など飾りのあるものも多く売られており、付属品の効果により煌びやかで高価なイメージをもたせたり、可愛らしい個性を生みだしたりなどファッションにおいて重要なアイテムと言えます。
ところが、このような付属品は見た目のセンスは優れている場合でも、洗たくやクリーニングの視点に立つと厄介な場合も少なくありません。このページではビーズとスパンコールについて解説します。
組成表示には飾りや付属品の素材が不明の場合が多い
まず、衣服に縫い付けてあるケアラベルを見ると組成表示というものがあり、「綿100%」「ポリエステル50%」など、衣服の生地で使われている素材名とその混用率が示されています。ところが、衣服にアクセントを与える飾りや付属品の素材については、示されていないことがほとんどです。
理由としては、「家庭用品品質表示法」では衣服の主要部分の組成表示しか対象としておらず、付属品や飾りなどについては付記用語などはメーカーの任意で注意表示が行われます。つまり、飾りや付属品の素材は不明な場合が多いのです。
注意表示の例
社団法人日本アパレル産業協会ではビーズ・スパンコールに対する注意表示ガイドラインを設けており、下記のような表示を行うよう求めています。
- 着脱の際、引っ掛けによる糸の切断に注意してください。
- 洗濯の際、ソフトなネットを使用してください。
- 装飾部分への直接のアイロン掛けやタンブル乾燥機の使用は避けてください。
「ビーズ」と「スパンコール」について
材料について
ビーズは、ガラスやプラスチックの玉に細い穴を開けて糸を通せるように加工した装飾品で、筒状、リング状などの形もあり、色や大きさ、使われる材料も木・貝殻・動物の角・プラスチック・アルミニウムなど多岐に渡っています。本来は、ネックレス等に使用されるべきもので、洗たくが伴う衣類の付属品としてはあまり馴染まない物質と言えます。スパンコールは、金属やプラスチックでできた薄くて小さなボタン状の装飾品で、現在は、ポリエステルやポリ塩化ビニルのフィルムに染料や顔料で着色したり、金属などを加熱・蒸発させ、その蒸気をプラスチックなどの表面に薄い膜として付着させたりなどして作られるのが一般的なようです。
使われ方
ビーズとスパンコールは、衣類の装飾として生地の上に縫い止めて使うのが一般的ですが、接着剤で接着されただけのものもあり、また材質や着色の仕方によっては形や色などに変化が生じる場合があります。ドライクリーニングや乾燥機の熱で溶ける場合があります
プラスチックビーズに要注意
プラスチックビーズでも原料が「スチロール樹脂」のものはドライクリーニングの溶剤に反応し溶けてべたつきが生じます。
ところが、こうした特徴を知らず、水洗い不可ドライ可表示の衣服でスチロール樹脂のプラスチックビーズを使用するメーカーが意外に多いようです。つまり、表示通りに洗い本体に問題が起きなくてもビーズが溶けてトラブルになるケースがあるので、注意が必要です。
例えば、ウールのセーターにビーズをあしらった衣服などは、ウールという素材によって水洗いのリスクがあるうえに、ビーズがドライクリーニングで溶けるリスクがあるというように、洗い方の難易度は高いです。お店によっては、ビーズを全て外して洗ってから付け直すなどの作業が行われる場合もあります。
スパンコールは特に接着タイプに要注意
スパンコールは、例えば接着剤で接着したものであればドライクリーニングによって剥がれ落ちます。この為、スパンコールをあしらった衣服で水洗い不可の表示があったら、必ず販売員へ洗い方を聞いておきましょう。
また、乾燥機の熱によってコーティングが剥がれたり変形・変色したりなどする場合もあります。
スパンコールはハイブランドのドレスなどに使用されたり、ダンスの衣装や最近では子供服などでも使用されるケースが多いようなので、注意が必要です。
デリケート品に何故か多い、無茶な付属品使い
最近は、生地が薄いデリケートな衣服でも金具が縫い付けてあったりなど、デザインでの特徴を出す為に無茶な作りをした衣服を見かけます。
見た目では個性的で可愛くオシャレであっても、本来衣服は洗って着続けるものです。是非買った後のお手入れのことも想像し、販売員とも相談しながら購入することが必要と言えます。